未曽有の被害をもたらした東日本大震災から11年以上が過ぎました。異常気象が相次ぎ、いつまた大規模な地震が来てもおかしくないと言われながらも、防災意識はいつのまにか薄れてしまいがちではないでしょうか?
うさぎさんを守るためにも、普段からの防災対策を考えてみましょう。(うさぎと暮らすNO.45より一部流用)
自助・共助・公助 うさぎを守るには人の防災から
災害時には大切なうさぎの身は自分で守るしかない、そのためにはまず『飼い主さんが無事でいなければならない』ということです。
自分が日ごろから災害に備え、自分の身は自分で守る『自助』。近隣住民や仲間、居合わせた人などと一緒に初期消火や初期救助にあたるなどの『共助』、そして公の助けを受ける『公助』。特に重要となるのは『自助』と『共助』です。まず生き延びて、助け合う。それには日ごろからの防災用の備え(心構えも)が大切です。
前編では防災のポイント12項目のうち6項目のご紹介と、補足してペットの主な避難用品、キャリートレーニング、そしてうさぎのプロフィール手帳を作ることの大切さをご紹介します。
防災のポイント
- ひとの防災を考える
- 我が家の問題点を考える
- 問題点の対策を考える
- 備蓄品を用意する(ひと、うさぎ) 詳細は下記にて。 ※必須:居住地域のハザードマップを入手する。居住エリアの状況を確認(洪水・土砂災害・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを把握しておく)
参考:ひと用の「非常時の持ち出し品・備蓄品チェックリスト」日本赤十字社 - 健康管理をする(ひと、うさぎ)
- 居場所の点検をする
- 普段からマナーを守る
- 助け合える仲間を作る
- 地域の避難訓練に参加しておく
- 個体識別をしておく(マイクロチップの装着)
災害がおこったら
- 避難所の確認(うさぎの入ったキャリーを持って歩いてみる)
- 避難所での注意点
1 ひとの防災を考える
人間の防災対策として居住空間を整えることで、結果そこに住むうさぎも無事でいられる可能性が高くなります。地震への備えであれば、住まいの耐震強度を確認する、丈夫な家具を配置し固定するなど『(※)生存空間の確保』を意識しましょう。
※生存空間の確保=建物や家具が倒れてきた時に人と動物が生き残れるような隙間ができるようにすること。家具に出入り口をふさがれないように配置に注意すること。
2 我が家の問題点を考える
家庭によって対策は様々です。防災の観点から現状を見直し、問題点をリストアップしましょう。
例)
- 高層マンションに住んでおり、階段での避難が不安
- うさぎだけで留守番をしている時間がある
- うさぎを放し飼いにしている
- 一人では同行避難できないほどのうさぎや動物を複数飼いしている etc.
3 問題点の対策を考える
災害が起こった時にどう行動するか、家族で役割分担や準備をしておくことなどを話し合っておきましょう。たとえば自治体指定の避難場所にも避難訓練などで実際に行ってみて、避難場所の中でもどこで待ち合わせるかなど、できるだけ具体的な対策を立てましょう。
災害時の連絡方法
●災害用伝言ダイヤル→171に電話をし、音声メッセージを残す/または聞く。
●災害用伝言版→インターネットを閲覧できる携帯電話またはスマートフォンで「災害用伝言版」を開き(対象となる災害時にはインターネットを開くとトップページに表示される)文字でメッセージを残す/または読む。
※災害用伝言ダイヤル、災害用伝言版ともに震度6弱以上の地震など大規模災害時にのみ利用できるようになる。ただし8月30日~9月5日の防災週間や毎月1日、15日は体験利用できる。
●ツイッターなどSNSの活用
4 備蓄品を用意する
非難する時に全ての備蓄品を持っていけるとは限りません。優先順位をつけて準備をしておきましょう。人間や犬、猫などの避難用食料は3日分を用意しておくという目安が一般的ですが、飼育頭数の少ないうさぎの食料は救援物資に含まれていない可能性があります。うさぎのフードは2週間分など、少し多めに用意しておいたほうがよいのではないかと思います。
5 健康管理をする
日ごろからうさぎの健康状態に注意し、周囲の迷惑にならないようにダニの駆除や感染症の治療なども徹底しておきましょう。また、他人に預けることになった時のために、健康な状態の体重や食欲、好きなものなど記録しておきましょう。
6 居場所の点検をする
うさぎのケージのまわりが安全かどうかを点検しましょう。地震では小動物が倒れてきた家具によってケガや圧死をしたという例も多くあります。家具やテレビなどの固定、ガラスには飛散防止フィルムを張るなど対策を取りましょう。
うさぎのケージ上部に物を乗せすぎたり、周囲に物を置きすぎないようにしましょう。地震で揺れて落ちてくるとうさぎがパニックになることがあります。またうさぎを日中1匹で放し飼いにしているおうちは、特に心配です。地震が来てもうさぎ自身がケージにさっと入れる環境であればよいですが、そうでない場合は物が落ちてきたときに危険を避けられる強度の強い隠れ場所を作ってあげましょう(木製ハウスなど)。
補足:ペットの避難用品について
ひと用の避難用品とは別に、うさぎが1週間程度生活するための牧草・ペレットなどのフードやケア・投薬用品、給水ボトル(器)など、持ち運びしやすい巾着に入れて準備しておきましょう。
参考:新潟県庁HP
なお、慣れない環境で神経質になって、ケージから飛び出してしまう可能性があるこには着けていて負担にならない上記用品の左側に写っているようなループだけでできているハーネスも必要です。
補足:プロフィール手帳を作る
災害時、うさぎだけが自宅などから出てしまい、迷っている状態で保護された場合、うさぎのキャリーカバーのポケットなど、うさぎのすぐそばにプロフィール手帳をつけておくと情報が共有できて便利です。飼い主さんの連絡先、うさぎのプロフィール(うさぎの写真貼り付け、名前・品種・性別・年齢・体重・避妊去勢の有無・性格・既往症・かかりつけの動物病院)を記載しておきましょう。
補足:ハードキャリーでトレーニング
避難時や避難所ではどのくらいの生活になるかわかりません。うさぎがキャリーですごすことがストレスにならないよう、ハードキャリーをリビングにおき、中に牧草やおやつを入れておいて、出入りしたり、キャリーに入って近所を歩いて帰ってくるといったキャリートレーニングをしておきましょう。
補足:うさぎのフードが不足する!?
災害時は水が不足してしまったり、避難時に持参したうさぎの牧草、ペレットが足りなくなってしまうことがおこりえます。東日本大震災時は、うさぎのフードメーカーさんが立ち上がり、牧草やペレットを救援物資として寄贈したそうですが、配給されるエリアが不明瞭であったり、孤立したエリアには行き届かないこともありました。
ですからできるだけ自分たちでうさぎのためのフード類を持参したいのは山々ですが、人用の避難用品もあるので、荷物はたくさんに。手持ちで持っていける量は限られてしまいます。そこで牧草を押し固めて整形されたチモシーキューブ(各社あり)やハーベストスタック(KAWAI)、あるいは乾燥野菜などがおすすめです。また人用に配給された野菜、避難地域に生えている野草も考えていくほかありません。
次回後半は、残りの6項目について紹介します。