読者さんとお話ししていると、キャリーに入れるのに手間取り、病院へ行くのに時間がかかったなどというご意見を聞くことがしばしばあります。抱っこができないとキャリーに入れるのも難しいと考えがちですが、お部屋で野放しにしていない限り、ケージにいる状態であればそれほど難しくありません。条件はいくつかありますが、誰にでもやりやすい形でご紹介いたします。
ケージ内をごちゃごちゃにしない…
キャリーに入れるのにてこずってしまう方は『ケージの中にうさぎがこもってしまう場所』を作らないようにしましょう。例えばロフトや木製ハウスメッシュのトンネルといった類のものです。特にメッシュのトンネルは、おやつで釣るなどして自発的に出てきてくれない限り、抱っこするまでに時間がかかってしまいます。また、無理やり引き出そうとすると爪などをひっかけたり、落下など、けがをしてしまう可能性があります。
初めてお迎えしたうさちゃんのおうちでは、総じてうさぎのためを思ってケージ内にいろいろと配置している方が多いのですが、災害時など、いつ何時うさぎをさっとキャリーに入れて、避難しなければならないということを考えると、ケージ内はシンプルがベストです。
ケージからキャリーへ
通常はケージ正面扉からですが…
ケージ扉を開けて、待ってましたとばかりに「なでで~」や「まんま~」と寄ってくるこであれば、頭をなでながらさっと抱っこしてキャリーへ…ができますね…。
しかし…何かを察知して警戒心が出ていたり、ケージ角で頑なにうずくまったり、攻撃してきたりするこには難しいので次の方法をご参考ください…。
ケージの上から出す
飼い主さんがケージの正面扉から手を入れると威嚇したり、噛んでくるうさぎには、取り入れやすい方法です。抱っこが苦手な方も一瞬で済むので難しくないと思いますがどうでしょうか…。
飼い主さんの心構えとしては、緊張はNG。リラックスして呼吸をするように素早くうさぎをすくいあげて、ゆっくり入れるようにしましょう。
こちらは空中から作業するので、ケージの中で暴れてできないということはないと思いますが(実際たいがいのおうちで実践して成功しています)、臆病な子はケージの上から手が入ることでトラウマになってしまうこともあるかもしれませんので、そういうこにはケージ正面扉から行うことをお勧めします。
テリトリー内で遊ばせている時にキャリーに入れるパターンは抱っこが苦手な方は難しいかもしれません。うさぎを追いかけてつかまえて入れることもうさぎの記憶には悪いものしか残らないのです。まずは「ケージからキャリーに入れる」を練習しましょう。
抱っこの際、うさぎが噛みついてくるという方は、飼い主さんが噛まれても大丈夫な体制を作るために軍手をして行うことも一つの手段です。本気噛みをしてくるうさぎの場合は発情も強いかもしれませんから獣医さんやうさぎ専門店の方に「仲良くなる方法」をご相談してみましょう。
小誌の企画より
小誌の72号で、飼い主さんが抱っこが苦手で、うさぎもキャリーに入るのが嫌いという読者モデルのおうちに「抱っこの指導」でお伺いしました。キャリーを見ると「病院や専門店に出かける」ということを察知し、嫌がっていたそうです。抱っこ&キャリーに入れる方法をアドバイスしてきました。
なお、抱っこのアドバイスはおうちの環境で指導すると飼い主さんも身に付きやすいようで、ほとんどのおうちでできるようになっています。
飼い主さんはうさちゃんが講師に甘えてなついている様子を見て、「私も頑張ろう!」という気持ちが芽生え、保定の仕方がわかり、やる気・自信を持つことで抱っこができるようになりました。途中からはお話ししながら抱っこをしっぱなしの状態ですごしていました。
キャリーに入れる練習はその日はうさぎの負担を考えて行いませんでしたが、後日スムーズにできるようになったそうです。なおキャリーは柔らか素材だけではなく、練習する際はハードキャリー(素材がしっかりしているので入口がいれやすい)を使って行うようにおすすめしました。
※抱っこトレーニングは、うさぎと暮らす72号か、毎号連載しているのでぜひご覧ください。
放し飼いのおうちは…
普段、おうちの中で放し飼いにしているという方は、飼い主さんが呼べば来る、あるいは「なでて~」と寄ってくるタイプにトレーニングしておきましょう。
自由な生活をおう歌しているので、キャリーにスムーズに入るタイプではなくなっているかもしれません…。
おうちで暮らすペットうさぎにおいては、飼い主さんの管轄内でケージから出て遊ぶ、ケージに戻す。これは実は重要なコミュニケーションだと言えるでしょう。ケージに戻ることで我慢を覚えますし、飼い主さんはうさぎの生活をコントロールしていることになります。あまりにも長く遊ばせすぎるとうさぎも自我が強く出てきます。
もちろん飼い主さんがおうちにいる時間は部屋に放していてよいのですが、外出時はケージに入れていただくスタイルをお勧めします。放し飼いの場合、地震や雷など何かあった時にうさぎがどこへ身を潜めているかわからなかったり、家具から物の落下やガラス破損なども心配です。
実際に放し飼いスタイルが長く習慣づいていて、突然ケージ暮らしにチェンジするのは無理という方にも遭遇します。そしてそういった方はうさぎの抱っこもできなかったりすることがままあります。抱っこを試みようとすると、うさぎも足をじたばたさせて必死に抵抗し、飼い主さんは手を放してしまいます。
広々スペースで放し飼いで暮らしているうさちゃんこそ抱っこはできるようにしてほしいです(当方にもご連絡ください)。抱っこの練習にトライしていただいて、その際はサークルを用意して敷物をフカフカにして、その中で行います。ご家族みんなで練習しましょう。
もし放し飼いからケージ暮らしにリセットしてみたいという方は、病院やホテル泊などの外出から戻ってきたときを活用してみることをおすすめします。うさぎも今までの慣習をリセットしやすいのでチャンスだと思います。
放し飼いにしている理由もそれぞれのおうちに理由あってのことかもしれませんが、もしもケージをかんだり、出せ~と騒ぐくらいでしたら、ケージをメインに暮らしてうさぎの身が安全なことが一番です。
キャリーの夏対策
熱中症はうさぎにとって命をおびやかす恐ろしい症状です。暑い時期、特に電車で出かける方は、キャリー周りの対策をしていただきたいです。当サイトの下記をご参照くださいませ。