うさぎの健康

うさぎと暮らす方へ たばこは吸わないようにね…

今回はたばこのお話しです。うさぎと暮らす家庭では「ダメ!絶対!」と私は考えています。しかしながら編集員には残念ながら、家族に喫煙家がいるため、かねがね説得して完全に庭で吸ってもらうようにしています。しかしどうしても部屋の中に煙が入ってきてしまいます。喫煙家の体にもたばこの煙がしみ込んでいますね。喫煙本数減らす→禁煙してもらう…そのためには喫煙家にペットの体にどうしてたばこがよろしくないのかを知ってもらい、互いの健康を見つめなおしてほしいと思います(今回はアメブロに書いたテキストをベースに改編)。

人とペット 体への影響

たばこの害は、人間においては2010年9月、厚生労働省の研究班が受動喫煙が原因の肺がんや心筋梗塞で年間約6800人が死亡しているとの推計値を発表したそうです。喫煙による死者は年間約13万人と推計されています。

煙に含まれるニコチンは肺内で吸収され、数秒後には脳内報酬回路を刺激し、多幸感をもたらします。逆に、禁煙しようとするとニコチン濃度が低下し、吸いたい、集中できない、イライラする、怒りっぽくなる、強い眠気を感じる、などさまざまな離脱症状(いわゆる禁断症状)が現れます。この離脱症状を避けるために喫煙がやめられないのです。つまり、喫煙の本質はニコチン依存症という病気なのです。

参考:奈良市役所HPより

たばこの健康被害については、奈良県奈良市の「喫煙による健康への影響について」がとてもよくまとめられています。

普段、うさぎのように体高の低いペットは、おうちの中で人より低い位置で暮らしています。たばこの煙は喫煙者が吸い込む主流煙より、たばこから立ち上る「副流煙」に含まれる有害物質が悪影響だと言われています。

副流煙に含まれる有害物質の粒子はニコチン・タール・一酸化炭素だけではなく、ベンゾピレンやニトロソアミンなどの化学物質も含まれており、発ガン性のある物質として知られています。また副流煙は空気中で下降するので、床に滞留したり、付着します。 家族に喫煙の習慣があり、うさぎが受動喫煙し続けると、ニコチンは血管を収縮させるため呼吸器や、血流、目などの部位や見えない毒が積み重なってガンなどの病気となって発症してしまうことがあります。

ペットの受動喫煙に関する研究では、米国でいくつかの発表事例があり、マサチューセッツ大が1993~2000年に実施した調査によると、家庭内で副流煙にさらされた猫が悪性リンパ腫になる危険性は、さらされていない猫の2・4倍。その環境が5年以上続くと、3・2倍に上がるとされているそうです。

参考:子どもの防煙研究会

横浜市の「子どもがうける受動喫煙(周りの大人が吸うタバコの煙の影響)の害について紹介したリーフレットもわかりやすく、この子どもたちへの受動喫煙の内容については、ペットと同様のことが言えると思います。

資料からベランダや換気扇の下、ドアを閉めた状況で喫煙したとしても影響があることがわかります。

例え飼い主さんが分煙していたとしても煙が体(手など)や衣類、口の中に残っているので、喫煙後にそのままの状態でうさぎを抱っこしたり、触れ合ってほしくないのは言わずもがなです。

健康増進法改正

2018年7月、健康増進法の一部を改正する法律が成立し、望まない受動喫煙を防止するルールが、2020年4月1日より全面施行されました。多くの施設において屋内が原則禁煙に。屋内での喫煙には喫煙室の設置が必要になりました。

これは嫌煙家にはありがたいことですが、喫煙家にとっては「自宅しか吸う場所がない」という考えに至ってしまうことでしょう。ペット目線で考えると困った問題でもあります。

そして、近年登場した「新型たばこ」に切り替えた方もおられるでしょうか。日本で発売されている加熱式タバコ(たばこ葉を使用)と電子タバコ(たばこ葉を不使用)は異なる製品です。加熱式たばこは紙巻たばこ同様にニコチンをはじめとした有害成分が含まれています。電子タバコは法規制により原則ニコチンフリー・タールフリーです(実際出回っているリキッドはニコチン入りのものもあるようです)。

それぞれ人に対しては紙巻きたばこと比べると「健康被害が少ない」とされていますが、販売されてから歴史が浅いもので正確な影響についてのデータがありません。やはりうさぎのそば吸うのはふさわしいとは言えないですね…。

個人的意見ですが、加熱式たばこの種類によっては独特のにおいがするのが苦手です…。

獣医さんの見解

獣医さんにお聞きしたところ、動物の病状についてヒアリングする際、飼い主さんが喫煙家であるかどうかも重要なポイントで聞くようにしているそうです。喫煙家の方はその方のにおいですぐにわかる、とのことでした。

カナリヤは毒ガスを察知する力があることで知られています。小さな体の動物たち、小鳥や小動物の専門病院では喫煙者の受診がNGにしているところもあったり、喫煙後は時間をおいてからの受診を促すというところもあります。
それほどペットとの暮らしを望むのであれば、禁煙するべきでは?と考える獣医さんも少なくありません。

なお、獣医さんによると、ペットがタバコを食べてしまうこともある、ニコチンによる中毒症状を起こすそうです。誤飲したらすぐに病院へー。日ごろのたばこの置き場所には注意しましょう。

清水動物病院・宏子先生の資料より

余談:たばこは愛煙家にとって息抜きや企画案を考えるときなど、気分転換に欠かせないものでなかなかやめられないものであることもわかっています。たばこ反対!などと申し上げると、本当はそれを製造する仕事に関わっている方々に申し訳ないという気持ちもあります。しかしうさぎと暮らす人にはうさぎにとって健康を害することがあるので何とかお考えいただきたいなと思う次第です…。