おうちのうさぎの健康を考えたとき、ペレットがうさぎの体に及ぼす影響は少なくありません。近年は日本のペットフードメーカーもうさぎのペレットを年齢やニーズにあった(ダイエット目的など)製品が開発されるようになりました。しかしその分、自分のうさぎに適したペレットをどう選べばよいのか悩む方もいらっしゃることでしょう。ここではペレット選びのヒントをご紹介します(本誌No.43を改編)。
ペレットがどうしてうさぎに必要なの?
うさぎの切歯(前歯)と臼歯(奥歯)は一生伸び続けます。硬い牧草を食べることによって上下の歯を磨耗し、歯をすり減らすことができます。また牧草に含まれる繊維の刺激によって胃腸のぜん動運動が起こり、排便を促し、健康を保っています。
では、どうして牧草以外にうさぎにペレットが必要なのでしょうか。一言で言えば、牧草だけで補えない栄養を一定量摂取するための『総合栄養食』なのです。イネ科のチモシーかマメ科のアルファルファを原料にたんぱく質、脂肪、繊維質、灰分などがバランスよく含まれています。さらに自然の素材では足りない部分を補強するためにビタミン、ミネラルを加えています。この栄養素を生野菜でとろうとすると非常に多くの量が必要となります。
ですからペレットは牧草につぐ、栄養補助食品として、成長ステージや品種、病気の予防など、自分のうさぎに合わせたものを選べば、うさぎの健康を維持するためのバランスフードとして手軽に選択できるのがメリットです。
ペレットの種類
主原料の違い
主原料・アルファルファのもの
幼少期・妊娠中・病中病後、やせてきたシニア向き…アルファルファ=マメ科の多年草。たんぱく質やカルシウムの含有量が多く、チモシーに比べてカロリーも高く、嗜好性も高い。
主原料・チモシーのもの
1歳以上のうさぎ向き…高繊維質で低タンパク質。カルシウム含有量が低い。1歳以上のうさぎに適している。
表記を理解する 主な原材料を知ろう
牧草
アルファルファミール、チモシーミールという記載は、それぞれの牧草を粉砕し、粉状にしたものという意味。
穀類
とうもろこし、米、小麦など。固形化するために欠かせないでんぷん質を含むほか、嗜好性があるのでうさぎが食べやすくなる。
糟糠(そうこう)類
ふすま、米ぬかなどのこと。繊維質、ビタミン、たんぱく質を含む。
豆類
脱脂大豆、おからなど。主にたんぱく質と脂質を加えている。
各種ビタミン、ミネラル
粉末状や液状にした栄養素を加えている。
うさぎのタイプ別
- 毛のタイプ別 長毛・短毛
- 品種別 ネザーランドドワーフ・ホーランドロップ用
- 成長ステージ(年齢) 仔うさぎ・スタンダード・シニアなど
- 肥満対策
- グルテンフリータイプ(小麦粉不使用)
- 原料がオーガニックタイプ
- カルシウム対策
ほかにも動物病院専用などもある
※小麦粉はたんぱく源であり、牧草の粉末などをつなぐ目的で使われていましたが、うさぎの胃腸の働きを鈍らせるという説があり、不使用にするメーカーが出てきています。(人間と同様で)体質に合わないタイプがいるということではないかと思われます。
ペレットの硬さ
ペレットにはハードと少しやわらかめのソフトタイプがあります。ハードタイプは一般的に「ペレットミル」という機械で作られ、材料を微粉末にすることなく、原料をある程度大きいまま圧縮、成形してペレットにします。ソフトタイプは「エクストルーダー」という機械で微粉末の材料を圧縮させてから押し出し、発泡することでできます。粒に空気を含ませて発泡させるため、ハードよりもやわらかいのです。
ハードタイプ=硬くて歯に負担がかかる、ということではなく、ハードの中にも咀嚼回数が高く、ほぐれやすいものもあります。またハード、ソフトのどちらでもないタイプで、咀嚼回数が高く、歯の負担が少ない新タイプ・ウーリーのブルームタイプもあります。
ウールフォーミュラは、一見ハードペレットに見えるのですが、メーカーサイトによると、ハードでもないようで、手でパキッと割れる硬さです。
みなさんもおうちで与えているペレットを手でさわってみてください。また2種類くらいペレットをお持ちでしたら、水につけてみてどのくらいでふやけるか試してみても・・・胃腸の負担の参考に・・・。
いずれにしてもペレットのパッケージにはソフト・ハードの記載はないので、歯に問題を抱えている飼い主さんはうさぎ専門店でどのペレットがよいか相談してみるといいでしょう(食べてくれるかどうかがまた別問題なのですが・・・)。
次回はペレットを購入する際のパッケージの表示の見方、選び方についてご紹介します。